フランス高齢者介護



フランスにおける高齢者施設各種
フランスでは、要介護度・自立度、入居希望者およびこの家族(子ども、嫁、婿、孫)の収入によって、様々なタイプの長期滞在施設が私立、公立、更に、協定、非協定併せ約10,300以上ある。その料金幅も広く、月76300円から304900円のものまであり、月当たりの平均自己負担額は、114500円である。(データ:FMP Mutualite 2002年1−2月号)料金とは別に、入居希望者は、自分の健康状態に最もあったタイプの医療サービスを持つ施設を選択する必要がある。
一方、低所得者へのAide Sociale社会福祉手当(注1)給付の条件としては、当該者の収入の内、90%以上が協定施設の食・住居費に費やされ、家族の最低食費義務額(親であれば子どもに対して養育義務があるように、子孫は親・祖父母に対して保護義務がある。フランス民法第203〜214条により制定)を差し引いた額が、支給される。

(注1)社会福祉手当:住宅手当(収入・住居面積条件あり)、在宅維持手当、高齢者最低保障(収入・家族の最低食費義務・相続財産よりの徴募条件あり。)更に、動・不動産売却利益などの相続財産が45734ユーロ(30万フラン)以上である場合、相続者は、手当返却し、および生前担保を必要とする。

名称 料金(月) 特徴 対象者 医療体制
寮―住宅
Foyer-Logement
約305ユーロ〜763ユーロ(二千〜五千フラン) 在宅とホームの中間。ワンルーム、または2ルームのアパート型。個人の家具などを持ち込める。 自立 なし
サービス・レジデンス
Residence service
約915ユーロ(六千フラン) アパートを購入または賃貸 自立、
半自立
医療警備有り
地方老人ホーム
Maison d'Accueil Rurale pour Personnes Agees
(MARPA)
約915ユーロ(六千フラン) 小規模(15〜20人) 自立度促進治療計画参加 自立、
半自立
看護、医師の定期的な訪問有り
自立・非自立老人ホーム
Maison d'Accueil pour Personnes Agees Autonomes et Dependantes (MAPAD) 
多様
月763ユーロ(5000フラン)から3049ユーロ(20,000フラン)
多様 自立、
半自立
非自立
完備
Centre d'Animation Naturelle Tiree d'Occupationn Utile (CANTOU) 約915ユーロ 小規模
コミュニティの生活に参加
痴呆
アルツハイマー
知的能力低下
あり
長期滞在型入院施設
Unite de Soin de Longue Duree
医療費:疾病保険より負担
ハウス・アメニティ:本人または家族の負担、または社会福祉手当。一日81ユーロ
公立病院に附属 恒常的な医療観察、ケアを要する。 病院内に併設
受け入れ家庭
Famille d'Accueil
有償 県の行政局監視の下、局と提携契約を交わした家庭が高齢者受け入れる。家庭観崩壊、核家族化の進む今日にあって、「新しい家族」の定義。 規定なし
(現実的には、要介護度の高い非自立者には難しいかも。)
一般家庭のため、無し

以上が政府、地方自治体主導型の高齢者滞在施設である。
一方、民間の不動産会社、セキュリティ・サービス会社の中にも、1970年代より高齢者対象滞在施設の建設・販売業における急成長が目立つようになってきた。高齢者ホテルHotellerie du Grand-Age, サービス・レジデンスResidences-Serviceと呼ばれるこれらのアパルトマンは、24時間セキュリティ警備を最大の魅力としている。これらのアパルトマンを購入、賃貸契約、または入居権利を購入し、更に月々の管理料を納める。不動産価値としては、一平米あたり価格が、市価の一般の不動産に比べ、20〜35%ほど高い。この為、必然的に、富裕層のみにアクセスが限られる事になる。

データ(DRESS-Direction de Recherche et d'Etude en Sanitaire et Sociale)
・75歳以上の高齢者の87%、85歳以上の高齢者の73%が在宅
・6000人の高齢者が、受け入れ家庭に迎え入れられている。(有償)
・75歳以上の高齢者の3%、85歳以上の5%が、寮―住宅に入居
・75歳以上の高齢者の9%、85歳以上の高齢者の19%が、老人ホーム(総称)に入居
・ 長期滞在型入院施設は、85歳以上の高齢者の3%を収容している。
・1995年前後、700,000人の65歳以上の高齢者(8%)が、要介護者であり、65〜69歳では1.7%、80歳以上では9%、85歳以上では20%、90歳以上では35%が要介護者であった。
・2020年、フランス人人口の10%が、75歳以上、3%が85歳以上となる。